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2005/06/27

《舟遊びの昼食》ルノワール - Phillips Collection No.2

何の絵から書こうかしら・・・と昼間から
考えていたのですが、やっぱり、フィリップス・
コレクション展の中でも一番、素晴らしくて
感動したピエール=オーギュスト・ルノワール作
《舟遊びの昼食》(1880-1881年)について
池上先生から教えて頂いたこともまとめて
ご紹介したいと思います。 

    20050601_phillips_collection_2   

この絵は、1点だけお部屋のように間仕切りにされたコーナー
に展示されていて、左横にはソファーが置かれていまして、
(これは実際にも同じ左側にソファーが置かれているそうです)
その奥にひときわ眩しく光り輝いている絵というか何かそこが、
宇宙の中で星が全部集まったような明るさでバ~ンと光線を
放っているようでした。ちょっとショックで一瞬、ウッとなって
しまった位です。ルノワールはこの頃は、画業が認められ
ある程度の画家としての地位を築きあげて、ここに描かれて
いる友人達とも楽しい時間を持てたりと大変充実していた
時期なのでしょう。

皆さんもご存知のとおり、左手前に描かれている子犬と
戯れている女性は、この一年後にルノワールの妻と
なったアリーヌ・シャリゴです。その向かいに座っている
青年が画家でもありオルセー美術館の基礎となる印象派
の作品をコレクションしたルノワールの親友、ギュスターヴ・
カイユボットです。そして、その右側に立っている青年一人
だけが帽子を被っていないのですが、それは彼がジャーナ
リストで自由を現しているそうです。

1923年、ダンカンはヨーロッパ旅行をしていて、この絵を
一目で見るなり気に入ってしまい、12万5千ドルという大金
で購入したそうです。その時、彼の管財人に宛てた手紙に

この絵は世界一の傑作だ!この絵を観るために何千マイル
 遠くからでもみんなが私たちの家に見に来るだろう!

と書いています。事実、今でも私たちはこの絵に完全に魅了
されてしまいますが、絵の方で東京に来ていただけるなんて、
私たちは幸運ですね!

一般大衆が郊外で食事をするなんてそれまでは貴族だけの
レジャーでしたが、この頃から普通の人たちが集まって
ランチを楽しんでいる様子がキラキラとして描かれていて
まるで小学生が遠足に行ってお弁当を食べているかのように
みんなが開放感に満ち足りた笑顔でいますね!

この絵が大作だったこともあり、ルノワールは
中々、仕上げなかったそうですが、1881年の
夏に、兄弟に宛てた手紙に、

 「今年こそ、この《舟遊びの昼食》を完成させる!」
と宣言していたそうです。

この頃から、ルノワールは自分の独自の絵を描こうと
「私は風景画であればその中で散歩したくなるような
  きれいな絵を描きたいし、女性なら自分が抱き
   しめたくなるような可愛らしい女性の絵を描きたい!」                                                                  

と自己主張もするようになって、印象派の様式から少しずつ
離れようとした分岐点でもあったと先生はおっしゃって
いました。どこが?と申しますと、色というのは、

3原色からなっていて、モネなどはそれをあまり混ぜない
で、特に黒は使わないで透明な色で描いていくのが印象派
の特徴で、その空極がシスレーなどの点描技法となった
そうですが、この《舟遊びの昼食》の頃から、ルノワールは
黒で輪郭を描いたりして黒を使いだすようになったそうです。

それから、イタリアへ行ってルネッサンス様式も取り入れ
印象派も合わせた様なヴィーナスの絵を描きますが
そのうちに、女性のきれいな人物像を中心に彼の独自の
絵の世界を築いていったそうです。

この絵の全体も圧倒されるような美しさがあるのですが、
手前のワインやガラス瓶のキラッキラッと光る透明な粒が
本当にきれいに描かれています。食卓の食材もエレガント
に細部に渡って描かれていてもうため息が出ます。
確かにこれは地球の果てからこの絵を観に沢山の人が
くるでしょう!!会期は9月4日までと長いので、ぜひ
日本に展示してある間に、ご覧になってくださいね!!
人生観が変わってしまうくらいに美しい絵です。

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コメント

Juliaさん
私も行ってきました。もう、こんなにたくさん!と叫びそうなほど、次から、次へとすばらしい作品ばかりでした。私はルノワールは苦手な画家(美しい過ぎて)なのですが、この作品、本当に素晴らしく、浸りまくってしまいました。
明るさと人間描写いいですよね~。肝心の「昼食」は何を召し上がったのでしょうか??
トラックバックさせていただきたく、よろしくお願い致します。

投稿: Yuko | 2005/07/10 20:07

Yukoさん
わぁ~コメントとTBをありがとうございました。
Yukoさんのブログには大変詳しく人物関係が
書かれていて素晴らしいですね!!

ルノワールはこの頃、絵に対してはどう描いたらいいのかわからない・・などと少し苦悩されていたようですね。そんなことは感じさせない位、全てが明るく輝いていましたよね!!
私もこの絵のことは生涯忘れられないでしょう。

>「昼食」は何を召し上がったのでしょうか??
 ホントですね・・!想像するにはバケットととかチーズとハムの盛り合わせとか、サラダとか~?先日、「アプリティフの日」というフランスのお祭りがあったのですが、その時のお写真を今度アップしますね!中々できなかったので。Yukoさんの質問からそこに持っていけそうですo(*^▽^*)o~♪

こちらもTBさせていただきますね!本当にありがとう&来週のオフ会では楽しみましょうね!!

投稿: Julia | 2005/07/10 21:52

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» 居心地のいいところ・・・ルノワール「舟遊びの昼食」 [エッセイ室]
いい絵だ。いつもはルノワールのあのフワフワした感じが好きではない。「美化しすぎ」と冷たい視線で彼の絵を観ている。いかにもポーズをとらせたような感じで、動きを感じない。しかし、この絵は素直にいい作品だと思う。彼の作品の中で最も好きだ。 なぜだろうか。パリ郊外、セーヌ河畔のレストラン「メゾン・フルネーズ」での昼下がり。いろいろな職業の、様々な身なりの男女がルノワールの友人ということで一つの場所に集まっている。少し遠くに、ヨットが見えるが、皆、そんなこと忘れてしまって、居心地のいい雰囲気の中ですっか... [続きを読む]

受信: 2005/07/10 20:08

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