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2006/09/03

■『ピカソとモディリアーニの時代』 @Bunkamura - 鑑賞会No.20

domenica, il tre Settembre 2006,
sono le dieci e trentasei.

        Mogi_2

昨日が初日の渋谷、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の

 『リール近代美術館所蔵 ピカソとモディリアーニの時代』

を芸術散歩の
とらさんとご一緒に観て参りました。19世紀末から
20世紀初頭の近代絵画が中心でしたので、正直な所、あまり
期待はしていなかったのですが、モディリアーニの油絵が6点と
素描が6点の計12枚を「モディリアーニの部屋」となって展示して
おりましたので、中央の椅子に座って、チラシの図版の《母と子》
を前に贅沢な時間を過ごせたことが一番良かったです~☆

ピカソとブラックのキュビズムの絵画が数点、会場に入った所
に展示してありますが、少々、この断面画が苦手です。二人の
色彩が驚くほど似ていたので、かなり影響し合っていたのでしょう。
とらさんも、『このように描いて、本人達は幸せだったかなぁ~?』
と仰っていましたが、本当に無理に物を崩しているように思えて
なりません。。モディリアーニはこの頃、このようなキュビズムの
影響が多大に出ていたモンパルナスでピカソたちと同時期に絵を
描いていたわけですが、あまり影響されなかったようですね。。
今回は、そのモディリアーニについて絞って書いて見たいと思います。

モディリアーニは皆様もご存知のように映画になっても大ヒット
するくらいドラマティックな短い人生を送っています。今回、
モディリアーニを見るに当たって、下記の本を読んで予習して
行きました。

  Takanasi
 西欧絵画の近代―ロマン主義から世紀末まで
  高階 秀爾

 内容(「MARC」データベースより)
ロマン主義、象徴派、印象派等、様々な主張を持って
生まれた近代芸術の方法。芸術家達は、どのように時代
を生き、思潮や手法を生みだしたのか。近代の本質を
探り新しい視座から作家と作品を論ずる躍動の美術史。

高橋氏はモディリアーニをご研究されていたのか、48ページ
ほどの長文で図版を交えて解説されていました。こちらで、
今まで知らなかったモディリアーニの絵画が確立するまでの
流れがとてもよく理解できるように書かれていたので、今回
モディリアーニの絵を実際に観て、彼の絵がいつもより理解
できたように感じました。

こちらのご本などからも少し引用させていただいて、自分
なりにモディリアーニついて、述べさせていただきます。

 『赤毛の少年』 1919年    Mother_1                

モディリアーニが彫刻家を最初
目指して、パリへ22歳の時に
来たことも有名ですが、その当時は
とらさんが教えてくださいましたが、
とても真面目な青年だったそうです。

体も小さい頃から弱くて、15歳の時に
学校の方は放棄してしまい、好きな
美術に集中するようになって、静養も
かねてナポリに治療にでたり、ローマ
やフィレンチェやヴェネチアなどの教会、
美術館などを見て回ったりしています。
そして、フィレンチェやヴェネチアの
美術学校で伝統的な絵画技法をパリに
でるまで4年間ほどきちんと学んでいたようです。

1907年頃、上記のとおり対象を解体するようなキュビズム、印象派、
フォーヴィズム、未来派、抽象主義といった様々な様式や造形上の
変化が展開された時代でしたが、モディリアーニはどちらかというと
異邦人画家という枠『エコールド・パリ』の一員と見なされはしましたが、
彼は、「ピカソの一党」にも加わらずに、どちらかというと彼独自の
「人間表現」を追及していったようです。

絵画に3年間ほど集中したあとは、1913年頃までモンパルナスに
移り住んで、人間の頭部を中心とした石彫を制作していたそうです。
石彫は、最初に頭にイメージしてからでないと、形を彫ることができ
ないので、この頃に、多くの石彫のためのデッサンをして、鋭い鉛筆
の線で物の造形を描く訓練をしていたようです。その彫像というのも
偶像に近い人間を通り越した神を創造したかったとのことです。

青年の時に鑑賞したイタリア各地のルネッサンスの人間中心主義を
絵画の上であくまでも貫きとおすように、1914年からまた絵画に戻っ
たときから、風景画はほとんどなく人間の主に上半身を描いて、
その人物の内面性も鋭く表しているとのことです。そして、上記の
彫像のためのデッサン方法が生かされて、絵画でもデッサンするとき
にも細い鉛筆の線でスーと一本の線で正確に造形的に描いてしまい
ます。モディリアーニの絵を真鷹で判断するときもこのデッサンの線で
見極められるそうです。題名は分からないのですが、女性の横顔が
端正に美しい鉛筆の線で描かれていて、とらさんと見惚れてしまう
程でした。

     Mother_child_2
         『母と子』   1919年

晩年に近く描いた『母と子』は素晴らしい作品で
母親のジャンヌの表情はあまり幸せそうでは
ありませんが、しっかりと腕に抱いた娘のジャンヌ
とともにとても真摯な気持ちでまるで聖母子像のように
美しく仕上げています。

小さい頃から体が弱くてパリへ来ても不安からか
お酒や薬などに手を出して、自らの死を早めて
しまったモディリアーニですが、このように最後は
生涯の伴侶を得て安らぎを手にする一歩手前で
したのに、さぞや無念だったことでしょう。

自分の肉体は滅びていくのに、それでも人間を描くことを
止めなかった芸術家としてのモディリアーニをしっかりと
感じさせてくれる素晴らしい絵を観れて心からよかった、
と思えました。

☆とらさんが早速、全体を含めて感想を書かれています。
そういえば、1Fのギャラリーで「
万華鏡展」も煌びやかな
アートの世界を覗けて楽しかったです~☆

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2006年 絵画鑑賞会」カテゴリの記事

コメント

モジリアーニの《赤毛の少年》のすぐ後にユトリロの風景画が展示されていたのはちょっと皮肉でした。ユトリロがそれまで真面目であったモジリアーニにアルコールやハシッシュを教えなければ・・・と考えても歴史は戻りませんね。《母と子》を観ながら、高校生のときに見た映画「モンパルナスの灯火」を思い出していました。

投稿: とら | 2006/09/03 20:15

とらさん

早速、コメント&TBをありがとうございます。

>モジリアーニの《赤毛の少年》のすぐ後にユトリロの風景画が展示されていたのはちょっと皮肉でした。

ほんとですね~!でも、あのユトリロの作品は、かなり元気がいい時に描いたように明るかったのでそれもなんだか余計、皮肉に感じました(笑 二人とも寂しい同士、支えあったのでしょうが・・・。

映画も観てみたいですが、モディリアーニの死後より作品が高く評価していったのも切ないですね。。ゴッホと同じくあの頃の世代はみんな貧窮していても絵を描くことに情熱を燃やしていたのが、なんともすごいことですね!

投稿: Julia | 2006/09/03 21:38

こんにちは
お久しぶりです。すべて初日に鑑賞されているようで参考にしています。

投稿: ak96 | 2006/09/12 00:45

ak96様

コメント&TBをありがとうございます。

>すべて初日に鑑賞されているようで参考にしています。
ちょうど、日にちが空いていることもありますが
とにかく、早く観たい!という気持ちに先立ちます。

でも、ウィーン美とベルギー美は初日はいけなくて
残念です。

また、後ほどak96さまのブログへお伺いしますので
よろしくお願い致します。

投稿: Julia | 2006/09/12 08:30

こんにちは。今日、この展覧会を見てきました。
白状すると、ピカソとモディリアーニ中心と思っていたので、最初のブラックとピカソのキュピズム競演にびっくり…。
展覧会の全体を把握できたところでようやく、鑑賞モードに入り、楽しむことが出来ました。
モディリアーニは初めてであった作品が多くて、この方の精神世界に深く思いを寄せることが出来ました。それにしても、早世過ぎます…。残念な気持ちを抱いて会場を後にしました。
(TBさせて頂ければ幸いです)

投稿: なつ | 2006/09/24 23:04

なつさん
コメント&TBをありがとうございました。

>ピカソとモディリアーニ中心と思っていたので、最初のブラックとピカソのキュピズム競演にびっくり…。

そうですね~! 私もキュピズムの作品をあんなに一度にみたのは、初めてだったのでちょっと目が回りそうでした~(/_ ;)
でも、キュビズムとは何ぞや、というのがこれではっきりと分かったので、まぁ~良かったかしら~と思うようにしています(^_^;

モディリアーニの『母と子』は大変良い作品でしたね~!!

>それにしても、早世過ぎます…。残念な気持ちを抱いて会場を後にしました。

仰るとおりですね。。でも、彼が残してくれた作品の中に、彼の芸術性は永遠に残っているので、それを我々はいつまでも愛してあげたい気持ちが沸いてきます。

投稿: Julia | 2006/09/25 07:13

こんにちは。
トラックバックいただきました。
破滅型の天才画家、モディリアーニとジャンヌの物語は
いつも哀しく感じます。
アンディ・ガルシアの映画をさっそくレンタルしてこようと
思いました。

投稿: 一村雨 | 2006/09/27 08:49

一村雨様

いつもコメント&TBをありがとうございます。

>破滅型の天才画家、モディリアーニとジャンヌの物語は
いつも哀しく感じます。

本当にそうですね。。ジャンヌも若過ぎたこともあるかも
しれませんが、お子さんがせっかく宿っていたのに残念でしたね。山梨県立美術館で観たジャンヌは、まだ会って間もなくだったのか少女のように可愛らしく描かれていました。

>アンディ・ガルシアの映画をさっそくレンタルしてこようと
思いました。
パリではボヘミアンとして街中の人たちに有る意味、愛されてもいたようですね~☆ 生まれたときからお父様の事業が破産したりと、体も弱かったけれど自分の描きたい絵を残せたことは良かったと思います。

投稿: Julia | 2006/09/27 19:53

Juliaさま、こんばんは
私も行ってきましたので、TBさせていただきました。
モディリアーニの解説はとても参考になりました。ありがとうございます。
私も「母と子」暖かい雰囲気がとても好きです~
そういえば、ニコラ・ド・スタールの絵が1枚ありましたが、Juliaさまは、どうお感じになられましたか?
私はあまりの激しさに少々驚いてしまいました。

投稿: アイレ | 2006/09/29 01:10

アイレ様
いつも本当に有難う御座います。
本展はキュビズムの世界を知る上で、インパクトが強くて
それに最初皆様が驚かれている様子が分かって面白かった
のですが、アイレ様のおっしゃるように、確かにキュビズムの
お手本のような作品が多くて、キュビズムとは何ぞや?という
のが分かった気がしました。

>モディリアーニの解説はとても参考になりました。ありがとうございます。
こちらこそ、拙い文章ですが読んでいただいて恐縮です。高階先生の文章も素晴らしいので、こちらでもご紹介させていただきました。

>そういえば、ニコラ・ド・スタールの絵が1枚ありましたが、Juliaさまは、どうお感じになられましたか?
私はあまりの激しさに少々驚いてしまいました。

ヤッヤΣ('◇'*) そっそれは気がつかなかったです!!
初日に行きましたので、まだ展示していなかったのでしょうか? また、近いうちに確かめに行って参りますね!!
アイレさん、教えて頂いて大感謝です

投稿: Julia | 2006/09/29 08:12

juliaさん、こんばんは。
モディリアーニは正直なところ苦手だったのですが、
この展覧会で少しそのイメージがかわったように思います。
まとめて拝見したことで、絵の重みとでも言うのでしょうか、
これまで感じられなかったモディリアーニの情熱を思うようになりました。

juliaさんのモディリアーニのご解説も大変勉強になりました。
ありがとうございます。

投稿: はろるど | 2006/10/10 01:16

はろるどさん

コメント、ありがとうございます。
モディリアーニの《母と子》は確かに
情熱のこもり方が違って、素晴らしかったです~☆

クレーもカンディンスキーもミロも良い作品が
展示してありましたね~(^o^)
スタールもあるので、また、もう一度、最終日までに
観に行こうと思います~ヾ(´ー`)ノ

投稿: Julia | 2006/10/10 07:30

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